synopsis

監督/脚本を担当したリック・ファムイーワは、青春時代を過ごしたL.A近郊での厳しい経験が、これほどまでに話題となる映画の重要な要素になるとは思ってもみなかったと語る。とはいえ、本作は実際に監督の出身地であるカリフォルニア州イングルウッドで撮影され、後のサンダンス映画祭での喝采へと繋がるのである。“自身について考えると、イングルウッドでの経験は重要な核となっている”と監督は語る。“良くも悪くも自身を取り巻く環境が自身を形成する。それは『ドープ!!』でも同様で、監督をする上であの頃に戻ることは非常に重要なことだった”。

ナイジェリア移民を父に持つファムイーワは1999年の『ソウル・メイト』で監督としてのキャリアをスタートさせる。この時監督は“自分が生まれ育った環境を今後に生かせるのか試してみたかった”と語っている。また、“本作が今の若い世代に響くのか不安だった”とも語る。“マルコムたちは次々と巻き起こる想定外の事態に向き合い、判断に迫られるのだが、それはまさに今の若い世代と同様であり、マルコムは自分の夢を実現させることで、自身の判断が正しかったことを証明する。”

サンダンス映画祭で2冠を受賞し絶賛された『フルートベール駅で』(2013)の直後、エージェントを介してファムイーワ監督と会ったプロデューサーのフォレスト・ウィテカーとニナ・ヤン・ボンジョヴィは、次のプロジェクトとしてこの若い才能を育てていくことを決める。

“要素に重点を置いたわ”とボンジョヴィは語る。“私は都市近郊の育ちで、ラ・プエンテ、パモナ、イーストL.A(いずれもカリフォルニア州の町)などに住む人は、ほとんどの人がずっとその町で暮らし続けるの。だからイングルウッドがどんな町か、個人的にとても新鮮で興味があったの。私たちはいつも新しいものを探していて、リック(ファムイーワ)の脚本を読んだ時は、これだと思ったわ。周りの人はリスキーだと言うかもしれないけど、これほど独創的で素晴らしい脚本はないと思ったわ。”

もうひとりのプロデューサーであり、本作のナレーションを担当したウィテカーは、すべての映画ファンに共通するような、新たな物語の構築方法だと記し、“『ドープ!!』の核となるのはユニバーサルなのさ。リックの脚本は、どんな人にだって通じるんだ。なぜなら主人公は周りに馴染みたいのにそれが出来ず、夢を実現させ、可愛い彼女もいる幸せな生活を手に入れるにはどうするべきかを模索している。”

ボンジョヴィもまたウィテカーのようにマルコムの境遇を自身に重ね合わせる。“マルコムたちは今の環境から浮いてしまっているけど、でも実際は多くの人が同じ状況だと思う。同じ環境で育っていたらきっと私だってそうだわ。それでも私は自分自身が歩むべき道を見つけるし、それはきっと他の人も同じはずよ。”

ウィテカーとボンジョヴィは、プロデューサーとして幾つかの制作会社に本作への出資を打診したが、結局手を挙げる会社は見つからず、単独資本での製作を決意する。

bg